「山羊汁」を英語でどう伝える? “Goat Soup”だけでは伝わらない。山羊汁翻訳が店の評価を決める理由
【注意】メニューに “Goat Soup” と書いてはいけません。山羊汁翻訳が店の評価を決める理由
ぐすーよー、ちゅーうがなびら!(皆さん、こんにちは!)
沖縄インバウンドメニュー翻訳サービス編集部です。
今回は、沖縄の飲食店経営者様、そしてメニュー制作に関わる全ての方に向けて、少し刺激的ですが、とても重要な話をさせてください。
結論から申し上げます。
もしあなたのお店の英語メニューに、山羊汁(ヒージャー汁)を “Goat Soup” とだけ書いているなら、今すぐ修正を検討してください。
なぜなら、その翻訳が原因で「注文後の後悔」「クレーム」「低評価レビュー」を引き起こし、ひいては「沖縄料理=美味しくない」という誤解を世界に広めてしまう可能性があるからです。
今回は、単なる言葉の選び方を超えた、「顧客体験」としてのアプローチで、山羊汁の正しい伝え方を徹底解説します。
1. なぜ “Goat Soup” は致命的なのか?
私たち日本人が思う「スープ」と、英語圏の人がイメージする “Soup” には、埋めようのない深い溝(ギャップ)があります。
① 英語圏における “Soup” の認知フレーム
彼らが “Soup” という単語を見た瞬間に脳内で立ち上がるイメージは、以下のようなものです。
- 軽い・飲みやすい(Light)
- 臭みがない(No strong smell)
- 子どもでも安心(Kid-friendly)
- 日常食(Daily meal)
代表例は Chicken Soup や Tomato Soup です。
つまり、”Goat Soup” という表記は、お客様に「軽くて飲みやすい、山羊のコンソメスープ」のような誤った期待を100%抱かせてしまうのです。
② 山羊汁の実態とのズレ=悲劇の始まり
しかし、実際の山羊汁はどうでしょうか。
- 骨付き肉がゴロゴロ
- 内臓も血も入っている
- 強烈な獣の香り
- 滋養・薬膳・「覚悟して食べる」料理
この実態は、”Soup” の世界観では説明不能です。
軽いスープを期待して注文したお客様が、目の前に現れた「野生味あふれる丼」を見た時、そこに生まれるのは驚きではなく「裏切られた」というネガティブな感情です。
これが、★1レビューの正体です。
2. 解決策:なぜ “Stew” が魔法の言葉になるのか
そこで私たちが強く推奨するのが、”Soup” ではなく “Stew(シチュー/煮込み)” という表現です。
③ “Stew” が持つ文化的ニュアンス
英語圏で “Stew” という言葉は、全く異なる文脈を持っています。
- 長時間煮込んでいる(Slow-cooked)
- 栄養価が高い(Nourishing)
- 伝統的で地域色が強い(Traditional & Local)
- 好みが分かれる・食べるのに覚悟がいる(Acquired taste)
Irish Stew や Gumbo のように、”Stew” は「その土地の文化を食べる」というニュアンスを含みます。
つまり、「山羊 × Stew」は、お客様の脳内で自然と正しく接続されるのです。
④ “Stew” による「良いフィルター効果」
表記を変えるだけで、お客様の心理はこう変わります。
- Goat Soup表記の場合:
「お、スープか。頼んでみよう」→(実物登場)→「うわっ、何これ臭い!思ってたのと違う!」→ ★1(ガッカリ) - Okinawan Goat Stew表記の場合:
「ふむ、沖縄の伝統的な煮込み料理か。クセがありそうだけど挑戦してみよう」→(実物登場)→「なるほど、これが現地の味か!」→ ★4〜5(体験としての価値)
Stew という言葉が心理的なフィルターとなり、「分かる人だけが頼む」という健全な状態を作り出します。
3. “Okinawan” と “(Hijaa-jiru)” を必ず付ける理由
翻訳の完成形は Okinawan Goat Stew (Hijaa-jiru) です。これには明確な戦略があります。
⑤ Okinawan を付けて「文化」に昇華させる
単なる “Goat Stew” では、中東やアフリカの山羊料理と混同されがちです。
“Okinawan” を冠することで、「ただの食材」から「ここだけの文化体験(Cultural Dish)」へと格上げされます。
⑥ Hijaa-jiru で「音」を残す
カッコ書きで (Hijaa-jiru) と現地名を残すことも重要です。
- Stew → 料理の内容が理解できる(安心感)
- Hijaa-jiru → 現地語の響き(真正性・特別感)
「よく分からない響きだけど、なんだか凄そう」。この “分かりすぎないこと” が、旅先での体験価値を高めます。
4. 「翻訳」ではなく「顧客体験」としての説明文
最後に、メニューの下に添える一言の説明文を考えてみましょう。
「山羊肉のスープです」という事実だけの説明は、この場合「説明放棄」と同じです。
推奨テンプレート(そのまま使えます)
ネガティブな要素(臭い・クセ)を先に書くのではなく、「伝統」「ポジティブな目的(滋養)」を先に伝えます。
👑 英語メニュー完成形
Okinawan Goat Stew (Hijaa-jiru)
A traditional Okinawan dish, slow-cooked and enjoyed for nourishment and celebration.
(日本語訳:沖縄の伝統的な山羊の煮込み料理。滋養と祝いのためにじっくりと煮込まれています。)
🔰 観光客が多い店の安全版
Okinawan Goat Stew (Hijaa-jiru)
A rich, slow-cooked traditional dish with deep local flavor.
(日本語訳:濃厚な地元の風味が味わえる、じっくり煮込んだ伝統料理。)
5. 一語の違いが未来を変える
たった一つの単語。”Soup” を “Stew” に変えるだけで、注文率、顧客満足度、Googleレビュー、そして沖縄料理全体の印象までが変わります。
それはもはや翻訳作業ではありません。
お客様にどのような「沖縄の思い出」を持ち帰っていただくかという、体験の設計(デザイン)なのです。
沖縄の食文化に誇りを持つからこそ、正しい言葉で、正しい価値を伝えていきましょう。
うとぅいむち(おもてなし)の心は、メニューの言葉一つにも宿ります。